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いけばな随想
diary

苔梅 260115

2026/1/15

 護国神社に奉献した正月花の手直しに行った。今日は、多くの若者が清掃奉仕をする姿が目立つなかで、梅の古木に張り付いた苔を注意深く削ぎ落としている高齢者が1人。
 せっかく風情のある苔を、なぜ落とすのか理由を聞くと、「例年これをしていた人が、去年体調を崩して手が付かなかったから、今年は自分がボランティアでやっている。苔が付いたままだと木が弱るから」。私はそんなことも知らず、苔むした枝の「苔梅」を、ただ貴重な花材として認識しているだけだった。
 茶器の歪みや割れや欠け、金継ぎなどの景色を愛でる美的感覚と、ゴツゴツした荒れ肌にも見える苔梅を愛でる感覚は、少しは似ているのではないだろうか。そしてこれらは、日本人の特筆すべき性分なのではないだろうか。そう考えて「いや、いや、いや」と即刻否定する私。
 茶器については、そういう“へうげもの”を好む“織部好み”は伝統的感覚でも、花器については聞いたことがない。現代の花人が苔梅を好む理由が、高額だからというだけでは哀し過ぎる。霧の舞う山蔭に苔むす枝に、赤い蕾がふくらんでいる梅は美しい。

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