汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

詩的な花 241227

2024/12/28

 同じ言葉を使っても、使う意図や使い方が異なると全く違う表現形式となる。例として、電気製品の説明書の表現は、一義的でなければ役に立たない。使用する人が使い方を間違えると、事故につながるからである。説明書に「最初に電源ボタンを押す」と書いてあったら、それ以外の行為を想像してはいけない。しかし、ある詩に「扉を押す」と書いてあったら、それは家の玄関かもしれないし、結婚式場の入場口かもしれないし、実体の見えない“人生の扉”かもしれない。
 つまり、説明書の用語は、いつ誰が読んでも正確に1つの意味を示すが、詩で使われる言葉は多面的にいくつもの意味が考えられるし、同時的・重層的にたくさんの意味を併せ持っているかもしれない。
 そういう見方をすれば、説明的ないけばなは誰が見ても同じように“わかりやすいいけばな”で、詩的ないけばなは人によって捉え方が違えども、それぞれが“感じやすいいけばな”である。
 ジャズシンガーのサラ・ヴォーンは、歌(歌詞)で聴かせるというよりも、声で感じさせる歌い方をするから、英語がわからない誰が聞いても素敵だ。

講師紹介