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いけばな随想
diary

追いつ追われつ 240606

2024/6/6

あるオリンピアンが、14年計画でトレーニングを積んでいるという記事が目に入った。ものすごく遠く、そしてものすごく具体的な未来像を描いていることに溜め息が出る。私だって、自分の理想とする姿をいつも追ってきたが、思い返すと10年以上のヴィジョンを描いたことはなかったし、事によれば5年先すらイメージできていなかったような気がする。

さて、象のように大きく寿命の長い生き物と、鼠のように小さく寿命の短い生き物の鼓動の数を比べると、一生の間の心臓の鼓動数は同じくらいなのだという。小さく短いスパンで暮らしていると、鼠のようにちょこまかと生きることになるのだ。

だから、近視眼的な計画しか立てられない私は、目標達成率の不足に対して頻繁に細かい焦りが生じることになる。自分が描いた自分の目先の理想像に追いまくられることになる。理想像を追っていたはずなのに、いつのまにか自身の理想像に追われる逆転現象が起こる。

いけばなについて、自分のいけたい具体的な作品像はない。それよりも花材との一期一会で、どんな戦いや協調が始まるか、それが楽しみだ。

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