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いけばな随想
diary

陶酔 240613

2024/6/16

自分のいけばな作品に対して、誰がいちばん関心を持っているか? まぎれもなく自分である。他人の作品を見てあれこれ言うのは、当人を前にしたときの社交辞令であって、当人がいなくなると交わした言葉の半分も覚えていない。

同じように他人のほうも、私のいけばなに対して、私以上に興味があったりはしない。彼らも彼らで、やはり私がそこにいるから、義務として社会性のある人間としてコメントをひねり出しているに過ぎない。

いけばな展で、求めていないのに他人の作品を批評する人がいる。それは、自分の作品に自信がないことの裏返しである。私は自分の作品に陶酔しているから、他人の作品があまり気にならない。陶酔していることは自信があることとは異なるけれど、陶酔は相対評価に無縁であるところが面白い。自信のあるなしは、すでにその時点で自己評価を伴っている。私に言わせれば大損である。

会期中は自己評価しない、反省は全てが終わってからでいい。会期中は自分の作品に自己陶酔して、誰彼構わず笑顔を振り撒くこと、それが見に来て下さったお客様への礼儀ではないだろうか。

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